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日光東照宮文芸漆展「麗しの言ノ葉」2015年4月17日(金)〜19日(日)日光東照宮 客殿

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開催概要

日光東照宮を彩る詩歌と蒔絵の美の調和

 2015年4月、徳川家康奉祀400年式年大祭に向けて奉祝ムード高まる日光東照宮にて「日光東照宮文芸漆展 麗しの言ノ葉」が開催されました。
 日光東照宮は、徳川初代将軍・徳川家康を御祭神として、2代将軍・秀忠によって建立されたものです。建立当時は質素な社殿でしたが、3代将軍・家光が莫大な資金を投じて改修した「寛永の大造替」により、現在の豪華絢爛な姿となりました。当時の優れた名工や絵師らによる丹念な細工を随所に散りばめた壮麗な社殿は、その多くが国宝や重要文化財に指定されており、1999年には世界文化遺産にも登録されました。
 我が国を代表する歴史的建造物として、国内外からの賓客も多いこの日光東照宮において、日頃、迎賓館の役割を果たしているのが、このたびの展示会場となった客殿です。
 1995年、丹下健三氏によって設計された客殿は、屋根の形をそのまま生かした勾配天井に日光杉をふんだんに使った意匠を凝らし、宗教空間の一角らしい荘厳で静謐な雰囲気を漂わせています。この会場の壁面と3段に組んだ台座の上に配するかたちで、総数350点もの文芸漆屏風がずらりと並べられました。
 漆屏風の一点一点には、プロの書家と熟練の漆職人により、詩歌が装飾されています。つややかな漆黒の画面から言ノ葉の情景が浮かびあがってきたかのような色鮮やかな蒔絵が、匂いたつ風情を感じさせてくれる優美な仕上がりとなりました。
 漆芸は、日光東照宮にとって切っても切り離せない重要な伝統技法のひとつです。じつは世界遺産登録されている「日光の社寺」のうち、目に見える箇所の9割以上もの部分に漆が施されています。この漆が金箔や彩色の持ちをよくし、雨風による傷みから社殿を守ってきたからこそ、長い年月を経てなお、日光東照宮はその威容を保ちつづけることができたのです。はるか400年前、日光東照宮の絢爛さは徳川の権威を誇示するかのような圧倒的な存在だったに違いありません。
 その伝統の技術を現代の屏風に呼び起こし、蒔絵で詩歌を華麗に彩った「麗しの言ノ葉」は、幕府体制を確立し、江戸260年の平和と文化の礎を築いた家康公を奉祝するにふさわしい、風格漂う麗しき文芸展になったといえるでしょう。
 世界遺産として日ごろから多くの観光客が訪れる東照宮ですが、本展会期中は弥生祭の開催と重なり、山内はとりわけ大勢の見物客で溢れていました。また、400年式年大祭を祝う公式記念行事のひとつとして地元メディアの注目も大きく、テレビや新聞などでも大きく取りあげられ、3日間という会期ながらたいへん多くの方々にお越しいただくことができました。場所柄、来場者のなかには外国人観光客の姿も多く、海外では「ジャパン」とも称される漆工芸の繊細な美を興味深く鑑賞していたようです。
 ともあれ、会場の皆さまの様子からは、豊かな心で詩歌鑑賞を楽しまれた満足感が存分に感じられ、本展を通して、めでたき佳節の恩恵を賜れたのではないかと感じております。

 

アンケート結果

アンケート結果から

 会場では、来場者を対象にアンケート調査を実施し、計430件のご回答をいただきました。
 このたびは短い会期ながらも1000名近くもの方々に足を運んでいただき、まことにありがたいかぎりでございます。日光市のお祭り、弥生祭と時期が重なったことや、式年大祭公式記念行事として地元新聞やテレビで紹介されたこともあり、遠方からも多くの方々にお越しいただくことができました。
 現代では、日本人でさえ漆とは縁遠い生活を送る人が増えつつありますが、アンケートを拝見すると、「漆の美しさに感動した」など、その魅力を再認識するような声をたいへん多くいただけたようです。また、漆と詩歌という組みあわせについて、「華やかで目でも楽しめるし、文芸が引き立っている」「俳画とも異なる味わいで気品がある」などのお言葉をいただき、工芸と文芸の調和を大いに楽しんでいただけたものと嬉しく存じております。
 詩歌作品一点一点についてのご感想も多く寄せられており、「生きてきた人生をしみじみと思いだした」など、それぞれに想いを寄せて鑑賞していただいたようでした。
 このたびは400年式年大祭という特別な機会での催しとなりましたが、それに恥じることのない盛況ぶりを呈することができたかと思います。これもひとえに、ご参加くださいました皆様のお陰と存じ、あらためて心より御礼申しあげます。

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