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終戦70年平和祈念文芸ステンドグラス展「祈りの言ノ葉」2015年9月5日(土)〜7日(月)長崎歴史文化博物館

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開催概要

文芸展の枠を超えた平和への祈りの言霊

 今年7月に世界遺産登録を果たした「明治日本の産業革命遺産」のうち、8ヵ所もの構成遺産を有する長崎市はいま、観光客が急増しています。
 そんな長崎市の中心部に位置する長崎歴史文化博物館にて、9月5日から7日にかけて「終戦70年平和祈念文芸ステンドグラス展 祈りの言ノ葉」が開催されました。
 黒川紀章設計によるモダンな建築と、江戸時代の長崎奉行所を復元した施設とで構成されるこの博物館は、さまざまな角度から長崎の海外交流史を学ぶことのできる人気のスポットです。会期中も週末ともなると、遠方からのツアー客などが多く来館していました。夏休み明けのこの時期、そのほとんどは中高年層で占められていたものの、それに混じって近隣の学生や家族連れなどの姿もあり、本展にも幅広い世代の方々にお立ち寄りいただくことができました。
 1階エントランスからエレベーターで3階へ上がると、日当たりのよい廊下の奥に青空が印象的な本展看板が大きく掲げられ、来場者を出迎えます。しかし会場内へと足を踏み入れると一転、なかはほの暗く、壁伝いに据えられた陳列ケースのなかのステンドグラスだけが照明に照らされ、その柔らかな色彩を浮かびあがらせています。どこか厳粛な雰囲気も漂う展示室内で、来場者は郷愁を誘うような優しい絵が施されたステンドグラスと、そこに書かれた詩歌の数々におのずと視線を向けていました。
 今年は終戦70年という節目の年であると同時に、長崎にとってはたった1発の爆弾が街全体を廃墟に変えたあの日から70年にあたります。これを機に、恒久平和を祈念して開催された今回の「祈りの言ノ葉」では、歌人の馬場あき子さんや俳人の金子兜太さんら著名作家の特別出展を含む計339点の作品が展示されました。そのほとんどが「戦争」や「平和」をテーマとするものとなり、会場には戦中戦後を生き抜いてきた方々による悲哀や憤怒の感情をはらんだ詩歌の数々がずらりと並びました。多くの来場者は、作品一点一点の言葉をかみしめるようにじっくりと鑑賞し、なかには目に涙を浮かべる方の姿も見られたようです。それぞれの詩歌に込められた想いは老若男女を問わず、来場者の心に深く染み入っていったのではないでしょうか。
 今回の文芸ステンドグラスは、ガラスフュージングの技法を取り入れることで金属線を排し、水墨画の画法で絵付けされたもので、従来のステンドグラスのイメージとは異なる繊細さと東洋的な雰囲気を感じさせてくれます。さまざまな国の工芸技術が合わさってひとつになった清らかなガラスのなかで、詩歌は永遠に平和の尊さを語り継いでいくことでしょう。
 また、会場には来場者に自由にメッセージを書いてもらうメッセージボードも設置され、ひまわりを模したメッセージカードを貼っていくことで満開のひまわり畑を完成させるという企画が実施されました。
 それぞれの想いを込めた言ノ葉が一堂に会した「祈りの言ノ葉」は、単なる文芸展の枠を超えて、平和を願う祈りの言霊となったのではないでしょうか。

 

アンケート結果

アンケート結果から

 会場では、来場者を対象にアンケート調査を実施し、計213件のご回答をいただきました。
 来場者の大半は戦中戦後を生きてきた中高年層が中心であったものの、学生など若い世代にも高い関心を持って鑑賞していただくことができ、たいへん有意義な機会にできたかと存じます。
 本展で使用したフュージングステンドグラスは、ステンドグラス工芸に馴染み深い長崎市民の目から見ても新鮮さを感じるものであり、アンケートには「優しい色で立体感もあり、ステンドグラスの印象が変わった」「ステンドグラスの味わいがイメージを広げ、詩歌に合っている」などたくさんの反響をいただきました。
 また、回答者それぞれに印象に残った作品を挙げてもらう項目では、「私自身、同じような体験がある」「この光景を思うと胸が痛みます」など共感を寄せる言葉が多く並びました。そして、その大半が「平和のありがたさ」というひとつの想いで締めくくられていたことがたいへん印象的です。
 詩歌を通して、戦争の悲惨さや平和の大切さを語り継いでいこうという本展の試みに、多くの方々からご賛同いただきましたことはまことにありがたいかぎりでございます。これもひとえにご参加いただきました皆様方のおかげと存じ、心より感謝申しあげます。

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